2000年
著者:猿田享男
所属:慶應義塾大学医学部内科

  • 健康科学
  • 各ライフステージ

要約

経口Ca摂取による血圧低下作用は個体差が大きく、必ずしも十分な評価を受けていない。近年、高血圧症の治療に対する個々の反応性の違いを遺伝的多様性(遺伝子多型)に求める研究が盛んに行われるようになってきた。しかしながら、高血圧の成因として最重要であるCa代謝関連遺伝子の検討はほとんど行われていない。本研究はCa関連候補遺伝子の遺伝子多型と細胞内Ca動態との関連ついて解析することを目的する。高血圧の遺伝歴の濃厚な若年正常血圧者と高血圧の遺伝歴を有さないコントロールにおいて、細胞内Ca動態の異常がインスリン抵抗性と密接な関連を保ちながら高血圧の発症に寄与していることを示した。さらに、これらの異常にはわずかな体重増加が寄与することが示唆された。次に、若年男性検診対象者147名から同意を得た上でDNAを抽出した。高血圧の遺伝歴の濃厚な高血圧群8名と高血圧の遺伝歴を有さない血圧低値群7名について、Ebstein-Barrウィルスにより不死化リンパ芽球を作成し、細胞Bankを構築した。高血圧群は生体および細胞レベルでインスリン抵抗性を示した。今後、解析対象を広げ、不死化リンパ芽球における細胞内Ca動態について検討する。さらにCa関連候補遺伝子との間で関連研究をする予定である。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021e2i.html
キーワード:
経口Ca摂取遺伝子多型Ca関連候補遺伝子細胞内Ca動態

2015年9月18日