1999年
著者:千葉百子
所属:順天堂大学医学部衛生学教室

  • 健康科学
  • その他

はじめに

本研究の目的は運動・ストレス・加齢が体内のミネラルバランスに及ぼす影響を明らかにすることと、ミネラル補給源としての普遍的でかつ低廉な牛乳の有効性を実験的に観察することである。
初年度では市販の牛乳と粉ミルクに含有される元素の種類と濃度を測定し、比較検討を行った。中簡年である昨年度はモデル動物として10-70週齢のマウスを使い、自由運動をさせ、血液、骨及び筋肉中の微量元素濃度、カルシウム代謝関連物資の測定、骨密度及び骨の力学特定の測定を行い、牛乳給与実験のための基礎データを得た。
本年度(最終年)はこれまでの実験結果に基づき、牛乳供与実験に取り組むことにした。すなわち、ミネラル欠乏食を与え、飲科として牛乳を自由に摂取マきるようにした。対照として、脱イオン水の他に、牛乳摂取量に見合う熱量を補給する群、飼料から抜いたミネラルを飲料水から補給する群を設けた。運動負荷はこれまで水泳、体重負荷、自由走行運動などを試みたが、ここでは自由走行運動を採用した。
本研究ではここの動物について食餌摂取量および飲水量を計測する必要がある。個室ケージは市販品を買い足したが、給餌器と給水ビンは通常飼育に使用しているものでは正確さを欠き、不適当であるため、目的に合ったものを実験を重ねながら整えた。
マウスに供給する牛乳は、市販品の牛乳ではそのまま与えると下痢の原因となり不適当であるとの意見もあり、乳糖不耐症用粉ミルク、スキムミルク等について検討したが、最終的には市販の低脂肪乳を2倍希釈して与えることとした。
結果として、5%グルコースを含む飲料は予想よりもはるかに多量を被験動物が摂取したため、牛乳と比較をするには要因が複雑に交絡するので、ここでは飲料は脱イオン水と牛乳の2種について報告する。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021ecz.html

2015年9月18日