1999年
著者:戸塚護
所属:東京大学大学院農学生命科学研究科

  • 健康科学
  • 免疫調節・がん

要旨

牛乳アレルギーの安全かつ効果約な予防・治療を可能とすることを目的とし、主要な牛乳アレルゲンであるβ-ラクトグロブリン由来ペプチドのアミノ酸置換アナログについて、アレルギー応答抑制作用を検討した。β-ラクトグロブリン特異的なT細胞応答を抑制する活性を示した2つのアナログペプチドR124Q、D129Sについて、β-ラクトグロブリン部分ペプチド(p119-133)が誘導する抗体産生応答を調べた。D129SはIgEを含む抗体産生応答を顕著に抑制したのに対し、R124Qは全く抑制効果を示さなかった。両ペプチドのp119-133特異抗体に対する交差反応性を調べたところ、R124Qはp119-133特異抗体と結合したのに対し、D129Sは結合しなかった。以上の結果より、牛乳アレルゲン由来ペプチドのアミノ酸置換アナログの利用により牛乳アレルギーの予防・治療の可能性が示唆された。またその際、アミノ酸置換アナログとしては、牛乳アレルギー患者のIgE抗体と交差反応しないものを選択する必要があることが明らかとなった。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021ecz.html

2015年9月18日