1999年
著者:管野長右ェ門
所属:宇都宮大学農学部

  • 健康科学
  • その他
牛乳脂肪球膜(MFGM)は、乳腺細胞の頂端細胞膜に起因し、乳脂肪球を被覆している構造リポタンパク質である。MFGMの約50%がタンパク質で、SDS-PAGE分析後に過ヨウ素酸-Schiff試楽(PAS)で染色・検出される主要バンドは7本(PAS-1)である。その内の本研究で目的とするPAS-4は、分子量75,OOO-88,000で、5%の糖を含むタンパク質である。
牛乳のPAS-4はヒト血小板のCD36と類似する抗原性を持つことが報告されている。血小板のCD36は、血小板細胞膜の主要な糖タンパク質の1つであり、コラーゲンのレセプター、血小板コラーゲンの接着の媒介、トロンボスポンジンのレセプター、マラリア感染赤血球との接着のレセプターなどの機能が報告されている。PAS-4とCD36は類似のタンパク質である可能性が示唆されているが、PAS-4の一次構造は解明されていない。乳線に発現するPAS-4とCD36とは異なる機能を持つ可能性が考えられる。しかし、ウシ乳腺で発現されているPAS-4とCD36の関係はいまだに明らかにされていない。
本研究では、1)PAS-4の簡易な精製法を開発し、その生化学的特性を明らかにし、2)PAS-4のcDNAクロ}ニングを行い、cDNAの塩基配列及びこれから推定されるアミノ隊配列昔、らPAS-4の一次構造を明らかにし、3)PAS-4の乳腺における極在性を免疫組織学的に、また泌乳に伴う変動をノザンブロットにより検討する。また、この遺伝子(あるいはCD36遺伝子)の各器官における発現を解析し、肝臓CD36のcDNAクローニングにより、CD36とPAS-4の構造上、機能上の差異を明らかにすることを目的とする。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021ecz.html

2015年9月18日