1999年
著者:久米川正好
所属:明海大学歯学部口腔解剖第一

  • 健康科学
  • 各ライフステージ

はじめに

乳中のカルシウムが、カルシウム吸収の促進や骨粗鬆症の改善に効果があり、骨形成を高めることは数多く報告されている。しかし、乳中の成分には、カルシウム以外にも骨代謝に関与する物質が存在することが明らかにされている。例えば、牛乳中の乳清画分には、骨芽細胞を増殖・分化させたり、破骨細胞の活性化を制御する成分が存在することが明らかとなっている。
一方、授乳期の骨は、軟骨内骨化様式によって成長する。この骨の成長にも乳成分は深く関わっていることが考えられる。しかし、乳成分の骨成長への作用については、解明が進んでいない。授乳期における乳幼児の骨の成長は、主として軟骨内骨代謝機式によっておこる。これまでに、我々は、大阪大学の関先生らと共同研究で、軟骨基質から軟骨内骨化に関係している成分を分離してきた。その中にAngiogeninが大量に含まれており、血管新生とともに破骨細胞の形成・活性化に関与することを明らかにした。
本研究では、乳中のAngiogeninを大量に精製し、破骨細胞に対する効果を調べた。また、精製過程で得られるAngiogeninを多く含む乳清蛋白(WP)画分(Angiogenin rich WP)を若齢期のラットに投与してその効果を調べた。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021ecz.html

2015年9月18日