1999年
著者:萩野浩
所属:鳥取大学医学部整形外科

  • 健康科学
  • 各ライフステージ

はじめに

骨粗鬆症では骨が量的・質的に減少して脆弱となり、最終的には骨折を生じる。骨折を生じれば、患者の日常生活を著しく妨げると同時に、時には寝たきりを引き起こす原図ともなる。一方、骨折さえ合併しなければ骨粗鬆症には重篤な臨床症状はないため、本症の予防や治療を行う最大の目的は骨折の予防といえる。
骨粗鬆症に関連して発症する骨折には脊髄骨折、大腿骨頚部骨折、橈骨遠位端骨折、上腕骨近位端骨折が挙げられる。このうち四肢骨折、なかでも大腿骨頚部骨折は特に患者の活動性を著しく制限し、老人性痴呆などの合併症を生じたり、寝たきりを引き起こしたりするため老人骨折のなかでも社会的にきわめて重要な骨折である。
大腿骨頚部骨折をはじめとする骨粗鬆症四肢骨折の発生率は欧米に比べてわが国では低いことがこれまで報告されてきている。その経年的推移に関しては、増加を認めるとする報告や、増加が無いとする報告に分かれている。近年、わが国では急速に人口の高齢化が進んでいるためその患者数が増加していると考えられるが、経年的な発生率変化はなお十分に明らかとはなっていない。さらに骨折発生の受傷状況や危険因子については国外ではいくつかの疫学的研究が行われてきているが、わが国で検討されたものは少ないのが現状である。
本研究では以下の点を目的とした。①1998年に鳥取県で発生した骨粗鬆症関連骨折の調査を行う。②その結果を過去に行った調査結果と比較して、発生率の経年的変化を明らかにする。③骨折の受傷原因、場所について検討する。④患者対照研究を行い、骨粗鬆症関連骨折発症の危険因子を明らかにする。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021ecz.html 

2015年9月18日