1995年
著者:西沢良記
所属:大阪市立大学医学部第二内科

  • 健康科学
  • 各ライフステージ

背景

プロスタグランディンJ2(PGJ2) はPGD2の誘導体であり、その代謝産物であるΔ12-PGJ2はヒトの尿中で検出されている。PGD2は血漿またはアルブミン存在化でPGJ2に転換される。PGD2はヒト骨芽細胞においてアルカリホスファターゼ(ALP)活性およびカルシウム沈着を増加させることが報告をきされている。しかし、その他の骨芽細胞機能(副甲状腺ホルモン受容体の発現、骨基質タンパクの発現など)に対する影響やPGJ2の作用機序については明らかにされていない。
最近、PGJ2がその受容体であるperoxisome proliferator-activated receptor γ(PPARγ)を介して脂肪細胞の分化を調節することが明らかにされている。PPARγには2つのアイソフォーム(PPARγ1、PPARγ2)の存在が確認されており、脂肪細胞の分化調節にはPPARγ2が主として関与している。また、PPARγ2の発現は脂肪組織に特異的であるが、PPARγ1は種々の組織で認められている。しかし、PPARγ1の機能特に脂肪組織以外の組織での機能については不明である。また、糖尿病治療薬であるthiazolidinedione誘導体がPPARγに特異的に結合し、脂肪細胞への分化を促進することが報告されている。
そこで、本研究では、PGJ2、その活性型である15-deoxy-Δ12,14_PGJ2およびthiazolidinedione誘導体のひとつであるtroglitazoneの骨芽細胞機能に対する影響をマウス骨芽細胞株(MC3T3-E1)を用いて検討した。また、破骨細胞の分化誘導に骨芽細胞の関与が報告されていることから、これらの化合物のin vitroでの破骨細胞分化誘導に対する作用についても検討した。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000022lsv.html 

2015年9月18日