1995年
著者:清野佳紀
所属:岡山大学医学部小児科学教室

  • 健康科学
  • 各ライフステージ

はじめに

社会の高齢化に伴い、骨粗鬆症はますます増加傾向にあり、社会的な問題となっている。現在、治療法として様々な薬物療法の開発が盛んに行われているが、一旦明らかとなった骨粗鬆症の治療には難渋する点も多く、発病予防が重要視されている。ヒトの一生において、骨の量は20歳代までに最大となり、その後徐々に減少し、女性においては閉経を期に急激に減少する。この骨量の一生の変化から骨粗鬆症の有効な予防法を考えると、1)急速な骨量急減少をくい止めること、2)最大骨量を高めることにより、骨量減少の後もなお十分な骨量を維持できるようにはかることの2点が考えられる。小児期・思春燃はヒトの一生を通じて唯一、骨を獲得してゆく時期であり、最大骨量獲得過程に重要な意義を有する。この時期の骨量獲得過程の機構を解明することは、小児の成長な捉える意味で重要であるだけでなく、以上に述べたように将来来るべき事態に対処する意味でも意義深いことと考える。
本研究の目的は、小児の栄養が骨量獲得に及ぼす影響を明らかにすることにより、小児の健全な発育を促す手段を明らかにし、かつ将来の骨粗鬆症発症を予防する方法を開発することにある。
この目的のために、食事から摂取されるカルシウムの量と骨量の関係を小学生・中学生・女子高校生において横断的に検討を行う研究とともに、健康小児ボランティアを対象に食事指導・カルシウム補充を行い、前方視的にカルシウム補充の骨量獲得に与える影響を検討した。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000022lsv.html 

2015年9月18日