1995年
著者:大平充宣
所属:鹿屋体育大学

  • 健康科学
  • 各ライフステージ
高齢化社会に入り始めた今日、老化に伴う骨粗鬆症は大きな社会問題の一つである。特に女性は閉経後に,急激な骨密度の低下が起こる。老化に伴う骨密度の低下を完全に防止する処方はないが、若い頃の骨塩量が高い程老化による減少度を(少なくともピーク値に対する相対値)は少ないと言われている。従って、若い頃、例えばbone mineral density (BMD)のピーク値を高めておく必要がある。
BMDを上昇させる方法として、運動及びカルシウム(Ca)摂取が注目され、研究も実施されている。例えば運動習慣があるかないかでグループ分けして、両群を比較した研究も数多く見られる。しかし、この対法では運動の量や強度などの分類は非常にあいまいである。一定の時間を決めてトレーニングさせる方法も、ヒトを対象とすると、それ以外の時間の活動量などは全くコントロールできない。運動はしないよりした方がいいという示唆は得られでも、最低どれ位の強度の運動を1日何時間位やればいい・・・というような結果を引き出すことができない。骨密度の低下は、女性長距離ランナーでも認められており、運動のやりすぎはマイナスであることも示唆されている。従って、単に運動しないよりした方がいいとも言えなくなってしまう。
長時聞のbed restや宇宙飛行に伴う骨密度の低下も大きな関心事である。Bed rest中の患者さんは運動の中止を余儀なくされており、宇宙では運動しようにも非常に困難である。こういう場合、Ca摂取を増やすだけでは効果はなく、最低量の運動やそのタイプなどが解明されると、その意議は大きい。更には、運動により骨形成が刺激されるとすれば、それに応じてCaの必要量も増すはずである。後って、抗重力筋活動とCa投与量、又はこれらの両者を変えてラットに与えた場合の、後肢筋及び骨の反応を追求した。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000022ll2.html 

2015年9月18日