1993年
著者:菅野道廣
所属:九州大学農学部

  • 健康科学
  • その他

はじめに

過酸化脂質が生体の諸機能に重大な影響を及ぼし、多くの疾患のみならず老化の引き金となる可能性に注目が集められている。現在まで、この問題に関する研究は脂肪酸の過酸化物に焦点が当てられていて、コレステロール(CHOL)酸化物の影響に関する知見は非常に限られる。CHOLが生体膜、リポたん白質の構成成分であることを考えれば、酸化CHOLの生物活性を知ることは極めて重要な研究課題である。さらに、酸化CHOLの生物活性の解明とその栄養的制御は、動物性脂肪の摂取が増加している現状から、国民健康に直結するきわめて重大な問題である。本研究は、食品中の酸化CHOLの種類と存在量ならびに生成経路から脂質代謝を中心とする代謝系への影響とその栄養的修飾まで、酸化CHOLの生物活性を理解するに必要な基礎知見を求めることを目的としている。そこで、本年度はまず、食品中の酸化CHOLの組成と含量、食品加工過程での生成の程度を防止法を検討し、ついで酸化CHOLの吸収の程度と共存する脂質成分の吸収への影響を調べた。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021tvd.html

2015年9月18日