2014年
著者:浦島 充佳
所属:東京慈恵会医科大学

  • 健康科学
  • 免疫調節・がん

要旨

出生時、母乳のみの群(母乳が不足する場合には通常のミルクではなくアミノ酸乳:エレメンタール)と母乳を主体としつつもミルクを少量(生後1 ヶ月未満では5ml 以上、それ以降は1 日40 ml 以上)加える群にランダムに振り分け、5-6 ヶ月健診時IgE RAST 測定によりアトピー感作の割合を比較した。現在216 例の登録数であり、以下は5 ヶ月時、96 人の採血結果に基づく中間評価である。解析したところ、1) 混合栄養群でIgE が高いケースが多い。2) 混合栄養群でミルク蛋白に対する好酸球(%)が高いケースが多い。3) 混合栄養群でミルク特異的IgE が高いケースが多い。4) 卵白特異的IgE では今のところ両群間で差はない。5) ①母乳群、②混合栄養群、③母乳群だが母乳不足により途中からミルクを加えた群の間での25OHD(ビタミンD)濃度を比較したところ、有意に①<②<③となった。出産後より母乳にミルクを加える混合栄養群で有意にアトピー感作ならびに、ミルクに対する感作が多かった。
一方、母乳不足により生後数日以降に母乳にミルクを加えた群ではミルクに対する感作は増えていない。この結果より、出生直後の抗原曝露がその後のアレルギーを引き起こす可能性が示唆された。本研究は、2 歳までエンドポイントの発生を観察するもので、2015 年度末まで登録を継続し、その後2018 年度末まで経過観察する予定である。
 
※平成26年度「牛乳乳製品健康科学」学術研究

2016年4月15日