2014年
著者:竹田 和由
所属:順天堂大学医学部免疫学講座

  • 健康科学
  • 免疫調節・がん

要旨

発癌や癌転移、ウイルス感染症の初期防御において重要だとされているNatural Killer 細胞(NK 細胞)の活性が、乳の飲用により影響されるかを検討した。 BALB/cマウスに3 週間、脱脂粉乳、全脂粉乳、またはクリームを経口投与し、脾臓細胞の細胞傷害活性(NK 活性)、無刺激でのIFN-γ産生量、抗マウスCD3 抗体を用いたT 細胞活性によるIFN-γ産生量を比較検討した。その結果、脱脂粉乳ではNK 活性の増強が見られなかったが、全脂粉乳またはクリームの経口投与によりNK 活性の増強が観察された。体重の推移に有意な差が無かったことから、このNK 活性の増強は栄養状態の差によるものではないと考えられた。NK 活性の変化に相関したIFN-γ産生の変化は認められなかった。興味深い事に、クリーム中に含まれる何らかの成分がNK 活性を増強することが示唆された一方で、クリームと脱脂粉乳の併用投与がクリーム単独投与よりも有意にNK 活性を増強させた。以上の結果から、乳(全脂粉乳)の飲用でNK 活性が増強することが示され、その主な有効成分はクリームに含まれることが示唆されたが、乳として摂取することで、よりNK 活性を増強させる効果が高まることが示唆された。
※平成26年度「牛乳乳製品健康科学」学術研究

2016年4月15日