2015年
著者:小西 瑞穂
所属:国立成育医療研究センター こころの診療部育児心理学科

  • 食育・教育
  • 乳幼児

概要

牛乳・乳製品は乳幼児の食物アレルギーのアレルゲンの第2 位に位置しており、牛乳アレルギーは難治例が多い。本研究では牛乳アレルギーの子どもを持つ母親へのストレス介入プログラムとして、科学的根拠に基づく心理社会的援助プログラム(Evidence-based practice; EBP)である家族心理教育を行い、その効果を検討した。長期的効果を検討するために、プログラム終了3 か月後のフォローアップも行った。
家族心理教育プログラムは、正確な情報提供を行う教育セッションと、生活の中での対処能力の向上を目指す問題解決志向型のグループワークの2 部構成から成り立っている。本研究では、医師、栄養士、心理士から、牛乳アレルギーのメカニズムや、牛乳の栄養や牛乳の代替食品、実際に試食を行いながらの牛乳・乳製品除去食メニューの紹介、ストレス対処の工夫について情報提供を行った。プログラムは全4 回のセッションと3 ヶ月後のフォローアップ1 回の計5 回であった。プログラムの効果を測定するために、プログラム開始前、プログラム終了後、フォローアップ後に、母親については食生活管理に対する負担感や育児感情、精神的健康を、子どもについては牛乳負荷量や子どもの行動について母親に評定してもらった。また、毎回のセッション終了時にはプログラムの感想を自由記述で求め、プログラム終了後にはプログラム内容の評価も求めた。
その結果、牛乳アレルギーという同じ症状・疾患を持つ子どもの母親が集まり、悩みを共有し、牛乳アレルギーに関する知識を深めたことで、生活への精神的な負担感が減少し、母親の精神的健康が改善したり、牛乳負荷に前向きに取り組めるようになった。除去食の工夫やメニューの提示により、すぐに実際の生活の中で役立つスキルを身につけることができ、除去食を作ることへの負担感が喜びに変わることも認められた。さらに、子どもとの接し方の工夫を知ることができ、日々の子育てを振り返る機会にもなった。終了後の母親の満足度は非常に高く、本プログラムは牛乳アレルギーを持つ子どもの母親のストレスを低減させるプログラムであったと考えられる。また、プログラムによって母親に精神的な余裕が生まれたことで、フォローアップ時には日常の子どもの態度や行動に対してイライラしたり面倒に思うことが少なくなり、プログラムの長期的効果も確認された。
 
研究分野
健康心理学、臨床心理学、家族心理教育
※平成26年度「食と教育」学術研究
キーワード:
牛乳アレルギー母親生活管理ストレス

2016年4月15日