2013年
著者:月野木ルミ
所属:大阪医科大学看護学部公衆衛生看護学領域

  • 食育・教育
  • 成人

研究成果の概要

【目的】牛乳乳飲料の消費量推移をみると、飲用牛乳は1994年をピークとして減少傾向を示している一方、乳飲料や醗酵乳は量、ウェート共に着実に伸びている。牛乳乳飲料は、カルシウムを多く含む飲料であると同時に一定のカロリーを有する飲料であり、牛乳と循環器疾患との関係については様々な研究が行われており多くの知見が明らかになりつつある。これらの科学的根拠に基づく保健指導を行うためには、適切な牛乳乳飲料の摂取方法を明確にして簡便な保健指導教材を開発する必要がある。今回生活習慣病発症の好発年齢時期である壮年期集団を対象とし、牛乳乳飲料摂取の改善に焦点を当てた減量保健指導教材の開発を行った。その中で医療技術のIT革新とともに保健医療分野の活用が期待されるタブレット端末に着目し、それらを用いた新しい保健指導教材の開発を行ったので報告する。
【方法】飲料会社や飲食店で市販されている牛乳乳飲料に関するデータベースを構築し,それを活用した保健指導タブレットアプリを開発した。減量指導教材アプリの開発過程は、3人の専門家による第1回会議行いアプリのコンセプトの決定後、減量指導教材アプリの試作品を作成した。次に専門家1名と開発業者と第2回会議を行い、主に牛乳乳飲料摂取を減少した場合のカロリー減少量の予測機能を追加した。その後、数回のメール会議による修正後、最終的に専門家3名および開発業者による第3回開発会議を行い、主に牛乳飲料摂取量あたりのカロリー算出機能とカロリーを消費するための運動量表示を加え、牛乳乳飲料摂取を減少した場合の体重減少量の予測機能への変更、ユーザー登録機能を備えた内容構成とした。開発は、3名の専門家の合議によって進めた。
【結果】開発した保健指導タブレットアプリの内容構成は、一日および一週間あたりの牛乳乳飲料の摂取量あたりのカロリー量(ごはんやパン換算)、それを消費するための具体的な運動量算出機能、牛乳乳飲料摂取を減少した場合の体重減少量の予測機能となった。同アプリ開発にあたっては、1)牛乳乳飲料に関する栄養成分はカロリーのみとする、2)データベースは誰でも追加削除できるような簡素な構成にするなどの点に配慮した。
【考察】本研究では,タブレット端末を用いた簡便に牛乳乳飲料摂取に着目した減量指導教材アプリを開発した。本研究で開発した保健指導教材は、現在、第二次健康日本21の策定や特定保健指導の見直しが進む公衆衛生分野において、新しい保健指導教材として医療従事者を中心に積極的な活用が期待される。今後は、開発した保健指導教材アプリについて保健師職を対象としたモニター調査を行い、さらなる改善を進める予定である。

研究分野:公衆衛生、健康教育

書籍ページURL
https://j-milk.jp/report/paper/alliance/berohe000000lbx7.html
キーワード:
乳・乳飲料摂取減量生活習慣病多機能携帯アプリ

2015年9月21日